移動平均クロス(ゴールデンクロス・デッドクロス)とは?初心者向けにやさしく解説
この記事では、移動平均線の計算から注意点までを順に説明する
FXの入門書やチャートの解説で、「ゴールデンクロス」「デッドクロス」という言葉を見かけたことはありませんか。どちらも移動平均線:直近の一定本数の終値の平均を、1本ずつずらしながらつないだ線です。細かい上下をならして、大まかな流れを見やすくします。 くわしくという線が交差することを指します。
この記事では、次のことを順番に説明します。
- 移動平均線とは何か、どうやって計算するのか
- 短期線と長期線の違い
- ゴールデンクロスとデッドクロスの意味
- 実際のチャートでは、どう見えるのか
- クロスが「ダマシ」になる理由
- 初めて取り組む人が気をつけたい点
売買の方法を勧める記事ではありません。仕組みを理解するための解説です。
移動平均線は、直近の終値の平均を1本ずつずらして線にしたもの
為替レートは、上がったり下がったりを細かく繰り返します。その細かな動きをならして、大まかな流れを見やすくするための線が移動平均線です。
5本の終値を足して5で割ると、5本の移動平均になる
ローソク足:一定の時間ごとの値動きを、始値・高値・安値・終値の4つで1本の棒に表したものです。1時間足なら、1本が1時間分にあたります。には、始値、高値、安値、終値があります。移動平均線では、このうち終値(その時間の最後の価格)を使います。
直近5本の終値が、次のとおりだったとします。単位を付けない、計算練習用の数字です。
| 順番 | 1本目 | 2本目 | 3本目 | 4本目 | 5本目 |
|---|---|---|---|---|---|
| 終値 | 100 | 102 | 101 | 103 | 104 |
5本の合計は 100 + 102 + 101 + 103 + 104 = 510 です。これを5で割った 102 が、「5本の移動平均」の値になります。
新しい足が1本できるたびに、古い1本を外して平均を取り直す
新しいローソク足が1本できると、いちばん古い1本を外し、新しい1本を加えて平均を取り直します。たとえば次の終値が105だったとします。
- 外すのは、1本目の100
- 加えるのは、新しい105
- 新しい合計は 102 + 101 + 103 + 104 + 105 = 515 なので、平均は 103
さらに次の終値が106なら、101 + 103 + 104 + 105 + 106 = 519 を5で割って 103.8 です。
こうして求めた平均を、ローソク足が増えるたびに点として打ち、つないだものが移動平均線です。「期間をずらしながら平均を取り続ける」ので、「移動」平均と呼ばれます。
価格が上がり続けているときは、移動平均線も追いかけるように上がっていきます。ただし平均を取る分、価格の動きより少し遅れて動きます。
本数が少ない短期線は速く動き、本数が多い長期線はゆっくり動く
平均を取る本数を変えると、線の性格が変わります。
- 短期線:本数が少ない(例:25本)。直近の価格の影響が大きく、値動きに素早く反応する。
- 長期線:本数が多い(例:75本)。古い価格も多く含むため、ゆっくり動く。
1時間足でいえば、25本は約1日分、75本は約3日分の値動きの平均にあたります(土日を除いた平日の取引時間で数えた目安です)。
どの本数を組み合わせるかに決まりはありません。このサイトの検証では、よく使われる組み合わせの例として、短期25本・長期75本を使いました。この組み合わせが特別に優れているという意味ではなく、検証のために1組だけ決めた、ということです。
短期線が長期線を上抜けるとゴールデンクロス、下抜けるとデッドクロス
短期線と長期線をチャートに並べて描くと、2本の線は、近づいたり離れたり、ときに交差したりします。
- ゴールデンクロス:短期線が、長期線を下から上へ抜けること。直近の価格が、より長い期間の平均を上回り始めたことを表します。上昇の流れの始まりとして注目されます。
- デッドクロス:短期線が、長期線を上から下へ抜けること。直近の価格が、より長い期間の平均を下回り始めたことを表します。下降の流れの始まりとして注目されます。
どちらも、「価格が一方向に動き出したかもしれない」ことを知るための目印です。この考え方は、流れに乗る手法であることから、トレンドフォローと呼ばれます。
実際のチャートでは、流れが出る場面とクロスが続く場面の両方が写る
言葉だけではわかりにくいので、実際のチャートで確かめます。
USDJPYの1時間足。データの最終足から遡った480本を、見栄えで選ばずに機械的に切り出した区間です。
- ① 6月1日(月) ゴールデンクロス ▲
- ② 6月11日(木) デッドクロス ▼
- ③ 6月16日(火) ゴールデンクロス ▲
- ④ 6月26日(金) デッドクロス ▼
日付はニューヨーク時間です。
灰色の細い線が終値、青い線が短期線(25本)、橙色の線が長期線(75本)です。上向きの三角がゴールデンクロス、下向きの三角がデッドクロスの位置を示し、図の①〜④は上の一覧の番号と対応します。
この図に写っていることを、順に説明します。
- 区間全体では、緩やかに上昇しています。
- 区間が始まってすぐの①で、ゴールデンクロスが出ています。その後しばらくは、短期線が長期線の上にある状態が続きます。
- ②と③のあたりでは、2本の線がほぼ重なって絡み合っています。②のデッドクロスのすぐあとに③のゴールデンクロスが出ていて、クロスが短い間隔で続いています。
- ③のあとは、価格が大きく上昇し、短期線が長期線から離れていきます。2本の線の間隔が広がるのは、流れがはっきり出ているときです。
- 区間の右端、いちばん新しいところでデッドクロスが出ています。このあと価格がどう動いたかは、この図からはわかりません。
同じ1つの図の中に、「流れに乗れたように見える場面」と「クロスが短い間隔で続いて、方向がはっきりしない場面」の両方が写っています。なお、これは1つの区間を取り出した例で、全体の傾向を示すものではありません。
レンジ相場では、クロスがすぐ逆に戻る「ダマシ」が続きやすい
クロスが出たあとに、期待した方向へ価格が進まず、すぐ逆のクロスが出ることがあります。これをダマシと呼びます。
ダマシが続きやすいのは、レンジ相場、つまり価格が一定の範囲を行ったり来たりして、はっきりした方向が出ていない場面です。
価格が上下に揺れていると、短期線と長期線は何度も近づき、交差します。移動平均線は過去の価格の平均なので、流れが変わったあとに遅れて反応します。そのため、クロスが出たときにはすでに流れが終わりかけていた、ということも起こります。
先ほどの図の②と③は、その様子がよくわかる部分です。線が絡み、クロスが続いていました。
新しい価格ほど重く見るEMAと、全部を同じ重みで見るSMAがある
ここまで説明した、全部の終値を同じ重みで平均する方法を単純移動平均(SMA)といいます。
これに対し、新しい価格ほど重みを大きくして平均する方法が指数移動平均(EMA)です。EMAは直近の値動きに敏感なので、SMAより少し早く反応します。そのぶん、細かい値動きにも振り回されやすくなります。
チャートソフトでは、たいてい両方を選べます。このサイトの検証は、SMAで行っています。
一般によく言われる使い方は、このサイトとして推奨するものではない
移動平均クロスの使い方として、次のようなことが言われることがあります。
- ゴールデンクロスを買いの、デッドクロスを売りの判断材料にする。
- 1時間足より日足のほうが、ダマシが少ないと言われることがある。
- 移動平均線の向きや、より長い時間足の流れと合わせて見る人もいる。
- 損切り(損失が広がる前に決済すること)の位置を、あらかじめ決めておく人もいる。
これらは、紹介されることの多い考え方を並べたものです。このサイトとして、どれかを推奨するものではありません。実際にどうだったのかは、次の節のように過去のデータで確かめる必要があります。
このサイトでは、同じルールを過去データで検証している
このサイトでは、短期25本・長期75本の移動平均クロスを、1時間足で機械的に売買した場合の成績を、過去のデータで調べています。ルールの細かい内容、使ったデータ、結果は、検証ページにまとめました。
初めての人は、コスト・心理的な負担・将来の不確実さに気をつける
売買のたびにスプレッド分のコストがかかる
FXでは、買値と売値に差があり、この差をスプレッドといいます。売買するたびに、実質的にスプレッド分のコストを払うことになります。売買の回数が増えるほど、コストは積み重なります。クロスが短い間隔で続く場面では、特に影響が大きくなります。
勝率が低い手法は、心理的に負担が大きい
トレンドフォロー:価格が一方向に動き出したら、その流れに乗る考え方の売買です。小さな負けを重ね、まれに出る大きな動きで取り返す形になりやすい手法です。型の手法は、小さな負けを何度も重ね、たまの大きな動きで取り返す形になりやすいと言われます。勝つ回数が少なく、負けが続く期間が長くなることもあります。計算上は成り立つ手法でも、そこに耐えられるかは別の問題です。
過去の検証は、将来を保証しない
過去のデータで良い結果が出ても、その結果が将来も続くとは限りません。相場の性質は時期によって変わります。また、過去のデータには偶然の要素も含まれます。このサイトの検証が、結果の読み方に気を配っているのはそのためです。
資金を入れる前に、デモ口座か少額で仕組みを確かめる
実際の資金を使う前に、デモ口座(仮想のお金で取引できる口座)や、ごく少額の取引で、注文のしくみや値動きの感覚を確かめておくことをすすめます。失ってもよい範囲を超えて資金を入れないようにしてください。
FXは元本が減る可能性のある取引です。この記事は仕組みの解説であり、売買の助言ではありません。
このサイトでの検証結果
- 移動平均クロスを1時間足でバックテストしてみた(USDJPY・EURJPY・AUDJPY)
USDJPY 偶然と区別できない
EURJPY マイナス
AUDJPY マイナス